阿部美春さんを悼んで

J. McKnight会長から賞を受ける阿部さん (J.AES, Vol.27, No.7/8, 1979)

J. McKnight会長から賞を受ける阿部さん
(J.AES, Vol.27, No.7/8, 1979)

AESフェロー会員であり日本支部の運営にも尽力された阿部美春さんが1月2日に逝去(享年81歳)されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

阿部さんは、業務用録音機器開発と事業化、ならびに民生用テープレコーダー普及における国際標準化に貢献されました。ご功績によって1979年5月、ロサンゼルスで開催された第63回AESコンベンションでAESフェローシップAwardが贈られました。私も同じくフェローシップを受賞し同席させていただき、以降親しくお付き合いをさせていただきました。

故井上敏也さん(1977年AESシルバーメダル受賞者)がAESジャーナルのレコード100年記念号(Vol.25, No.10/11, 1977)に“The Recording Industry in Japan”を寄稿されたときに、1953年にNHKとデンオンがLPレコードカッティングレースを開発し、これで日本ビクターが初の国産LPレコードを発売できたことが紹介されました。

私は日本オーディオ協会の機関誌「JASジャーナル」編集の手伝いをしていますので、日本のオーディオの足跡を記録に残すために、カッティングレースを谷勝馬さんと一緒に開発された阿部さんにお願いして、JASジャーナル2003年7月号より8回連載で「国産円盤録音機物語」(全58ページ)を執筆いただきました。

さらに姉妹編として「テープ録音機物語」を2004年7月号「その1」から2012年11月号「その66」まで毎回読切り形式で合計515頁ご執筆いただきました。阿部さん渾身の力作です。

阿部さんは、あと2回分、dbxとセミプロ用マルチトラック録音機を執筆のご意向でした。ASCAMとFOSTEXでパーソナルレコーディング機器やガレージスタジオの道を拓いた阿部さんに是非とも書き残していただきかったと悔やまれます。

阿部美春(あべ よしはる)さん(1931年~2013年)のご経歴

20130128_abe2磁気録音との関わりはDENON(1951年)の頃からで、以来半世紀、専ら業務用とHi-Fi用機器の開発畑を歩く。DENON、YAMAHAを経て1957年、TEAC設立に参加、ステレオテープデッキ、ステレオカセットデッキ等の開発に着手、テープステレオ時代の基礎を築く。

1971年からは音楽家用MTR(マルチトラックレコーダー、TASCAMブランド)とミキサーの開発に着手、今日のパーソナルMTR(通称パソレコ)の基礎を作る。1981年FOSTEXに転じ、録音機器部門を新設、パソレコの普及に努める。さらに1981年、主にカセット用テストテープを製造、販売するABEX(現ALMEDIO)の設立に参加。TEACでは取締役オーディオ技術部長、同特機(TASCAM)常務取締役他、FOSTEXでは副社長(1991年退職)など歴任。

1958年頃から磁気録音関係の標準化活動に参加し、EIAJ、JIS、AES、IECなど、各委員会幹事、委員長など歴任、1979年AESフェロー、1987年度AES日本支部長、1989年通産大臣賞、1994年藍綬褒章、1998年EIAJ功労賞。2008年に磁気録音技術への貢献により日本オーディオ協会賞を受賞。

主な著書としては『テープレコーダ』(1969年編著、NHK出版)、『録音のテクニック』(1974年共著、同)、『カセットデッキ』(1980年著、同)他。

(F-8143 藤本正煕 記)

支部だより2012年夏号公開

支部だより 2012年夏号を公開いたしました。前々号までは日本支部会員の皆さまに郵送していましたが、前号からはウェブサイトでの一般公開としました。

今号では、次期副支部長選挙のお知らせ、AESジャパンコンファレンス、基礎音響セミナー、総会、学生支部よりご報告、といった内容をお届けいたします。ぜひお読みいただければと思います。

AES基礎音響セミナー2012開催のお知らせ

AES日本支部では、これまでに多くの東京コンベンションやジャパン・コンファレンスを開催してきた経験を生かし、これから本格的に音響に携わることになる学生や若手技術者を対象とした「AES基礎音響セミナー2012」を、さらに内容をパワーアップさせて開催する運びとなりました。

本セミナーでは、大学などで受講するような専門的な知識を、どなたでも受講できるように平易な内容にかみ砕いて解説致します。

セミナーの内容は、音響の基礎理論はもちろん、心理音響、室内音響、電気音響などの主要な音響分野を網羅しており、全ての講座を受講して頂くことで一通りの音響理論、オーディオの知識を身につけることができます。

日程:8月25日(土)/8月26日(日)
会場:東京藝術大学 千住キャンパス

セミナー内容の詳細および申し込み方法はこちらをご覧ください。先着順に参加受付をさせて頂きます。定員に限りがありますので、早めのお申し込みをおすすめいたします。

祝! AES日本支部60周年

AES日本支部は今年の7月17日を持ちまして、60周年となりました!
賛助企業様からの継続的なご支援、そして支部会員の皆様に支えられ今日に至りましたことを感謝致します。日本支部の益々の発展のため、今後とも支部活動へのご協力をよろしくお願い致します。

AES日本学生支部定例会のご案内

AES日本学生支部が、「FINAL FANTASY XIII-2のサウンドデザイン ~ゲームクリエイターの観点からの音響及び作曲~」と題した定例会を開催いたします。学生優先とのことですが、一般会員の方々にもご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

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7月7日(土)、東京藝術大学北千住キャンパスにてAES日本学生支部定例会「FINAL FANTASY XIII-2のサウンドデザイン ~ ゲームクリエイターの観点からの音響及び作曲~」を開催する運びとなりました。今回の企画では、FINAL FANTASY XIII-2の制作を通して、スクウェア・エニックスのゲームにおけるサウンドデザインの考え方や創作方法をご紹介します。

日時: 2012年7月7日(土) 15:00開場/15:30開演
場所: 東京藝術大学千住キャンパス スタジオA 東京都足立区千住1-25-1
定員: 100名(申込多数の場合抽選)
※入場無料 ※学生優先(当日、必ず学生証をお持ち下さい。)

講演
染谷 和孝 (株)アートスピリッツ サウンドデザイナー/エンジニア
矢島 友宏 (株)スクウェア・エニックス サウンドディレクター
水田 直志 (株)スクウェア・エニックス コンポーザー
鈴木 光人 (株)スクウェア・エニックス コンポーザー

講演の方々の詳細等は、以下のwebページをご覧下さい。
http://japan.aes-student.org/wordpress/archives/241

申込方法
以下のwebページにアクセスして頂き、申し込みフォームよりお申し込みをお願いします。
※事前申込制 締め切り2012年7月5日(木曜日)正午まで
AES日本学 生支部定例会「FINAL FANTASY XIII-2のサウンドデザイン ~ ゲームクリエイターの観点からの音響及び作曲~」を7月7日に開催

お問い合わせ
AES日本学生支部webページの「CONTACT US」からお問い合せください。

主催:AES日本学生支部
協力:株式会社アートスピリッツ、 株式会社スクウェア・エニックス、東京藝術大学

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以上、よろしくお願いいたします。